結婚式でウェディングドレスを着て

結婚式はある大学の中のチャペルで行いました。結婚式の様式は、神前、仏前、キリスト教のいろいろの選択肢はありましたが、ある関係で費用のいらないチャペルで行うことになったのです。

そのため、新郎新婦の衣装は必然的に、タキシードとウェディングドレスになりました。両親、特に母は、私の白無垢姿を見たかったと思うのですが、夫が外国籍だったので、そうした事情も考慮して、快く承知してくれました。結婚披露宴は、チャペルの近くの宴会場で執り行うことになっていたので、衣装もそこでレンタルすることにしました。夫は白のタキシードを借りることになりました。衣裳部屋には沢山のドレスが並んでいました。よくドラマなどで、花嫁衣装を借りるシーンがありますが、それと全く同じです。でも実際にハンガーに掛かった沢山のウィディングドレスを見ると、目移りがしてどれがいいのか全く分からなくなってしまうのです。首の回りが広く開いているものや、そうでないもの、レースが付いたものやそうでないものなど違いがあっても、着た時にどんなふうになるのかは全く分かりません。長いドレスは試着するのも結構疲れるのです。

そこで迷っていると、担当の人が「どんな感じがいいですか」と聞き、2,3着提案してくれたものを試着しましたが、今ひとつピンときませんでした。それで次に持ってきてくれたのが、一番新しく、汚れもないというドレスでした。確かに生地も真っ白で、少し光沢があり、他のドレスのようにくたびれた印象がありませんでした。レンタル料は25万円と割高でしたが、一生に一度のことですから、このドレスに決めました。結婚式当日はあわただしく過ぎました。でも、このドレスを着るひんやりした感じが心地よかったのを覚えています。チャペルに行く前、衣装を着て宴会場のエントランスに立つと、関係者や全く知らない人からも注目されました。「おっ」とびっくりするような目で見られるのは、女優でもなければ、一般人なら結婚式位でしょう。結婚式は一生に一回主役になれる時だ、などと言いますが、成程本当だと分かりました。ただ、自分自身は自分がどう見えるか分からないのです。実際動きにくいし、担当の人がスカートの裾を治したり、歩き方を注意された時は、長いスカートはなかなかやっかいだと思いました。記念写真以外にも、知り合いが沢山写真を撮ってくれました。結婚式の主役は新郎新婦ですが、特に花嫁が華です。人気女優の気持ちが少し理解できたような気持ちになりました。白無垢にも未練はありますが、和服だと自分もお客さんも、洋服の時よりも、振る舞いがもっと大人しくなると思います。ウェディングドレスは、現代では、一般人にとって特別な人になれる貴重なチャンスかもしれません。